ご飯は幸福の素 寅福とはごはんやであり
それも頑固な職人のような
こだわりのご飯をだす店なのである。
朝早くから仕込みが始まる。
米はどこどこ、水はどこどこ
とぎ方、炊き方、蒸らし方
なにからなにまで決まっている。
それを大きな黒いかまどで、炊き上げる。
それはまるで大仕事。
昭和の初め、白いご飯が貴重だった頃
おいしいご飯を
お腹いっぱい食べさせたいと
子をもつ母なら、誰でも思っていた。
下町、浅草生まれの白い割烹着のにあう母も
まちがいなくそう思ったに違いない。
働きものの母は、それが講じ
昭和三十年、ごはんやを出す。
おいしいご飯とおいしいおかず。
毎日食べても飽きない日々の味。
悲しい時もご飯を食べれば元気になれる。
うれしい時はもっとうれしくなる。
「ご飯は幸福の素」これが母の口癖だった。
母の名前は、寅。
そこで店の名前は、大かまど飯 寅福。
そして平成十二年 私は母の意志をそのままに
この店を継ぐ二代目となった。

           寅福 二代目 寅二

 

山間部に流れる豊かな清水。火山灰の堆積のない滋養に富んだ土。高温多湿で昼夜の気温差が激しい気候。そして1年を通じ、丹精込めて稲に愛情を注ぐ人。すべてにおいしいお米を育てる条件を揃えた、新潟県長岡の厳選米。契約店より毎日精米仕立ての寅福オリジナル米が届きます。ほんのりと甘い味と香り、ふっくらとした柔らかさと上質な粘りをご賞味ください。

どうしても旨いご飯にこだわりたい。そうするとやはり石竃で釜炊きするに限ります。百五十キロの大竃で三升炊きの火力で二升の米をゆっくり炊く。これがお米をつぶさずふっくら炊くコツです。また鉄釜の鉄分がお米の旨み成分と相まり、なんとも懐かしいご飯の味を引き出してくれます。

飯炊きは、煮る、蒸す、焼くの三段階。初めのチョロチョロは米粒の中をアルファ化するためにゆっくり加熱します。その後一気に温度を上げて中パッパ。この中パッパが弱いと米粒の間にすき間ができず、ご飯がふっくらしません。次は蒸らし。保温性の高い竃が釜をすっぽり包み込んで熾き火状態で充分に蒸します。最後は焼く。昔なら藁をひとくべして火を強くしたもの。ほんのり焦げ口がついた香ばしいご飯の出来上がりです。